

「そのひとらしく」を、ともに実現する看護へ
高齢化が進む社会の中で、医療に求められる役割は大きく変わっています。当院はその最前線に立ち、地域に根ざした医療とケアを届けています。
生産年齢人口の減少、高齢化の進展、認知症や複合的なニーズを持つ患者さんの増加。こうした社会の変化を受け、医療機能の分化が進んでいます。
これまで医療の目標は「治して社会復帰」が中心でした。しかし、慢性疾患や高齢者、終末期を迎える方々に対して必要なのは「治す医療」だけではありません。医療は今、「QOL(生活の質)の維持・向上」を支える「治し支える医療」へと、その意味を広げています。
当院はすべての病棟を地域包括医療病棟として運用し、主に高齢の救急患者さんに医療とケアを提供しています。
リハビリや栄養管理によるADLの維持・向上、意思決定支援による「その人らしい豊かな人生」の実現、そして入退院支援を通じた退院後の生活サポートが、私たちの中核的な役割です。これらは地域における当院の使命であり、その実現を支えているのが、看護部の日々の実践です。
看護部の取り組み
入院患者さんの多くが高齢者であり、80歳以上の割合も高い当院では、身体的な不安定さに加え、環境の変化によるせん妄リスクや、認知症・高齢独居世帯への対応が日常的な課題となっています。入院を契機に、退院後の生活そのものの見直しが必要となるケースも少なくありません。
私たちは、入院によるADLの低下を防ぐことを重視しながら、機能回復だけでなく「その人らしい暮らし」が退院後も続けられるよう、多職種と連携して支援しています。
ユマニチュード
「ケアとは何か」という哲学に基づき、知覚・感情・言語を用いたコミュニケーションで「自分は大切な存在だ」と感じていただけるケアを実践しています。尊厳は、日々の関わりの積み重ねの中にあります。
臨床倫理/意思決定支援
「その人にとっての尊厳とは何か」を医師・看護師・リハビリ・ソーシャルワーカーなど多職種で考え、本人の意向を中心に置いたケアを実践します。
DST(認知症サポートチーム)活動
認知症のある患者さんが、安心して生活・療養しながら治療を受けられるよう、多職種がチームとなって支える仕組みを整えています。
入退院支援
「住み慣れた地域で安心して生活・療養できるよう、多職種で包括的に支援する」という理念のもと、地域の支援者と連携しながら退院後の生活まで見据えた支援を行っています。
教育・キャリア支援
尊厳を守るこれら4つの取り組みは、知っているだけでは実践につながりません。当院では、これらを日々のケアに根付かせるための学びの場を整えています。
全職員を対象とした院内研修
ユマニチュードについて、看護部所属のインストラクターが研修を実施しています。専門的な知識と現場の感覚を持つ身近な存在から学べるのが、当院の強みです。
ラダー研修・委員会活動
キャリアの段階に応じたラダー研修と、各委員会での活動を通じて、学びを深め実践へとつなげる仕組みを整えています。「なぜそのケアが必要か」を言語化し、チームで共有していく文化を大切にしています。
尊厳を守るケアと並んで欠かせないのが、患者さんを医療的に「看る力」です。そのために必要なのが、専門的なアセスメント能力と適切な臨床推論を行う能力です。当院はこれらの力を伸ばす環境も充実しています。
当院は特定行為研修機関として認定されており、以下の領域の研修が可能です。高度な実践力を持つ看護師を目指す方のキャリア支援も行っています。
根拠に基づいたフィジカルアセスメントと臨床推論を身につけるための学びの場も設けています。「なぜこの患者さんに今これが必要か」を自ら考え、判断できる看護師としての力を育てます。
私たちが大切にすること
看護とは、一方向の支援ではありません。尊厳を大切にする関係性の中で、患者さんと看護師の双方が癒される。それが、ケアリングの本質だと私たちは考えています。
患者さんの「その人らしさ」を守る看護は、患者さん自身の生きる力を支え、エンパワメントへとつながります。そしてそれは、看護師自身の誇りにもつながっています。
当院の看護部は、これまでの取り組みをさらに深化させながら、地域包括ケアシステムの発展に貢献するため、院内にとどまらず地域へと積極的に踏み出していきます。
高齢化が進む地域で、医療とケアの力で「その人らしい生き方」を支えたい。その想いを持つ方に、ぜひ私達の仲間に加わっていただきたいと思っています。
ともに、未来の地域医療を支えていきましょう。
看護部長 金子 イト子