病院では災害時にも通常の医療を提供できるように、設備を整え、備えています。

これから、2回に分けて当院での備えと、皆さまご自身で準備しておいたほうがよいことなどをお伝えしていきます。

まずは、当院での備えについてです。

東山会は、一般急性期病院、透析医療、予防医療、在宅医療・介護の4つの分野でサービスを提供しています。

調布東山病院:一般急性期病院、透析センター、ドック・健診センター、在宅センター

桜ヶ丘東山クリニック:人工透析専門クリニック

喜多見東山クリニック:人工透析専門クリニック

地下水ろ過システム導入

2021年9月30日、災害時に備え、地下水を地下水膜ろ過システムでろ過して水が使える設備を運用開始しました。
水質については、三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社が24時間365日遠隔で管理し、当院の施設管理担当が毎日確認し安全を担保しています。

今回、長年の課題であった災害時の水確保に関して条件が整い、設置に至りました。

災害時におけるライフラインの確保はとても重要なことです。

その一つである水の確保は、手洗い、食事、トイレといった基本的な生活と、衛生環境維持のうえで特に重要です。また、透析センターがある当院では、治療準備から透析治療、終了の洗浄まで大量の水が必要となるため、水の確保ができたことは、医療提供を継続できる可能性が高くなり、有意義なことだと考えています。

 

生活用水

あらゆる場面で水を使います

 

設備の仕組み

地下水仕組み

 

この設備は調布市が設置しているものと同じものを採用しています。自家発電設備に加えて水というライフラインを確保し、当院での医療継続の可能性が高まったこと、そしていざというときには近隣の皆さまにも供給することができるようになったことで、災害に強い地域づくりにもつなげています。

 

地下水プラント

調布東山病院の地下水膜ろ過システム

 

非常用発電機

災害(停電)に備えるために、病院の電気を供給するための本線と、他の変電所から電気を供給するための予備線を引いています。
本線で停電が発生した時は、予備線に自動的に切り替わります。
2つの線が同時に停電すると非常用発電機が自動的に起動し、病院内の一部の設備・機器に給電を開始します。
これにより電力復旧までの間、病院の最低限の機能を維持します。

非常用発電機の燃料は72時間分が蓄えられています。

 

自家発電

 

免震構造

複数の免震装置を組み合わせ、建物と地面との間に隙間を作った免震構造となっています。
出入り口など段差が取れない場所は、「免震用ブリッジ」で橋渡ししています。

免震

免震装置の役割の例

  • 建物の重さを支え、かつ水平方向に柔らかく動きやすくすることで、地震の衝撃を吸収分散
  • 安定した復元力で地震エネルギーを吸収し、揺れを小さくする
  • 小さい揺れはゴムで地震の力を吸収し、大きい揺れはステンレス盤の上を滑って地震の力を受け流す

 

免震構造

 

 

今回は、当院での備えについてお伝えしました。
災害時の医療継続に向けて、これからも訓練を重ね、備えてまいります。

 

次回は、実際に災害に備えるためにできることを考えてみます。