調布東山病院の理事長で、循環器内科専門医の小川聡子医師がお答えします。

 

不整脈とは?

不整脈は、脈が不規則に打つだけでなく、ゆっくり打つ、速く打つ状態もいいます。正常な場合、脈拍数は1分間に約60~80回です。

 

不整脈はなぜ起こるのですか

心筋梗塞などの心臓の障害、薬剤、老化、遺伝などいろいろあります。自律神経の影響も受けるので、緊張するとドキドキと速くなったり、脈が飛んだりすることもあります。飲酒や脱水でも起こりえます。
不整脈には、通常の脈の伝導の仕方が異常なものと、心臓の筋肉が痛んでそこを起点として起きるものがあります。
前者では、心房細動(※)・徐脈(脈拍数が1分間に40回未満)・ペースメーカーを入れるといったことをイメージされるでしょうか。後者は、テレビドラマでもよく出てくる、電気ショックをかけるような致死的な不整脈(心室細動)などでしょうか。
心筋梗塞を起こして痛んだ真菌や、肥大型心筋症など肥厚した病的な心筋の一部の電気的異常興奮が引き金となって起きます。

 

(※)心房細動
電気刺激を作り出す「洞結節」ではないところで1分間に 300 回前後電気刺激が起き、そのうちの何回かに 1 回心臓の上から下まで電気が通る。それが1分間に120 ~ 40 回の不規則な脈となる。

 

心電図を取りましたが、どのようなことがわかるのでしょうか?

心臓の電気の伝わり方で、どこがうまく伝わっていないか、リズムが規則的か不規則か(整か不整か)を診ます。

心電図検査の種類

両手両足と胸部に電極をつけ、心臓から出ている電気信号を記録します。不整脈・心筋梗塞・心筋虚血などの評価に用いられます。

○心電図(所要時間:約5分)
心臓の検査です。心疾患の有無をみます。脈の乱れなど不整脈も検査できます。

○負荷心電図(所要時間:約20分)
安静時には変化がなく、運動時に変化を生じるような労作性狭心症の診断に有用です。2段の階段を3分間昇降し、運動後の心電図をみます。

○ホルター心電図(所要時間:約15分)
帯型心電計を用いて、時間の心電図を記録します。普段どおりの生活をして問題ありませんが、入浴はできません。

心臓と電気の関係

心臓は電気信号により自動的に規則正しく拍動しています。その電気刺激を作り出すのが「洞結節」というところでペースメーカーの役割を果たします。
洞結節から出された信号は、まず心房を刺激して収縮させます。 そして房室結節、ヒス束、左脚・右脚、プルキンエ線維という心臓に張り巡らされた刺激伝導系を通って心室全体に伝わります。
このように心房と心室が順番に収縮することによって、心臓は効率よく血液を溜め、全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしています。

 

普段の生活で気を付けることを教えてください

無症状のうちに不整脈になっていることもあるので、定期的な健康診断で心電図をとることは大切です。
めまいやふらつきを感じたときには、手首の脈を触れてみてください。脈がすごく遅い、速い、リズムが乱れるときは一度横になってください。
脱水の場合もあるのでお水をしっかり飲むことも大事です。
お酒や睡眠不足、不規則な生活は不整脈を誘発しやすいので気を付けましょう。
また、お薬が出ている方は、飲み忘れのないように気を付けてください。

「広報誌 東山だより(2022.5)」より転載

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