院長ご挨拶

新型コロナウイルス感染症が流行し始めてから3年以上が経過しました。未知の感染症に対し、私たちは試行錯誤を重ねながら、流行の波をひとつひとつ乗り越えてきました。最初の頃は、感染を予防するための個人防護具(マスクやフェイスシールドなど)を入手することができず、一部のものを職員が手作りしたり、地域の皆さまからご寄付を頂いたりしたこともありました。職員が肉体的にも精神的にも疲れている時に、励ましの寄せ書きを頂いたこともありました。私たちは医療とケアで地域を支えることを使命としているのですが、私たちが地域から支えられているのだ、ということに気づかされた3年間でもありました。あらためて、この場を借りてお礼申し上げます。

当院は2022年に開設40周年を迎え、これを機にして病院の理念を見なおしました。病院のあり方・方向性を変えるということではなく、当院創設から一貫して私たちが大切にして取り組んできたこと、それを「『その人らしく』を実現する」という言葉にして、理念として表しました。病気やケガを治すことや病状を安定させることが病院の役割ですが、私たちはそれにとどまらず、医療とケアを提供することによって、病気になっても、あるいは病気を抱えながらも、この地域で「その人らしく生きること」を実現したいと考えています。そのために、その人の人生観・価値観や希望に沿った将来の医療とケアを具体化するためのアドバンス・ケア・プランニング(人生会議)に積極的に取り組み、認知症・高齢者に「あなたのことを大切にしています」ということを伝えるケア・コミュニケーションの技法であるユマニチュードを導入しています。

医療の目的は、単に病気を治すことではなく、その人の人生・生活を身体や健康面から支援することであると考えています。誰もがいつまでも、住み慣れた場所で自分らしい暮らしをおくることができるように、調布東山病院は人情味のあるサービスを心がけた医療とケアを提供してまいります。

2023年5月

調布東山病院 院長 須永 眞司

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